思いつきのひとり旅 1

【1日目:長野──山に囲まれて深呼吸】

朝、なんとなく出発したこの旅。今回はあえて高速道路を使わず、伊賀からずっと**下道(一般道)**で長野へ向かいました。途中の景色や地元の町並みを眺めながらのんびり走るのも、ひとり旅ならではの楽しみです。

途中、**木曽の開田高原あたりで立ち寄った地元のそば屋「そば処 霧しな」**で食べた「信州そば」が驚くほど美味しくて、旅のスイッチが一気にONに。※このお店では、今の季節(5月中旬)限定で「山菜天ぷら付きざるそば」が人気で、山うどやタラの芽が旬の味覚として登場しています。

こっち側を出発したのは午前11時。のんびり移動しながら、**木曽町の温泉「せせらぎの四季」**に到着したのは夕方6時半ごろでした。下道での長距離運転は思ったよりも距離がありましたが、山道の景色や空気がどんどん変わっていく様子をリアルに感じられて、何とも言えない満足感がありました。

「せせらぎの四季」は、名前の通り、まさに自然に溶け込むような静かな温泉。湯船は茶色く濁っていて、鉄分と炭酸水素塩を含んだ本格的な“モール泉”。有馬温泉を思わせるような成分で、じんわりと体が温まります。山あいの静けさの中、ゆっくりと湯に浸かっていると、普段の慌ただしさがふわっとほどけていくようでした。

時間が遅くなってきたため、木曽福島の宿場町の街並みは車窓から眺めるだけに。歩いて散策できなかったのは少し心残りですが、**木曽駒ヶ岳を望む街並みは、来月6月から観光客で賑わう「御嶽山の開山祭」**に合わせてさらに風情を増すとのこと。次回はそのタイミングで再訪したいと思いました。

その後は塩尻方面へと抜け、**新緑が美しい国道142号線(通称:中山道ルート)**を通って草津方面へ。夜になり、峠を越える頃にはあたりは真っ暗。車のライトだけが道を照らし、旅の終盤へと向かいます。

峠越えの途中で眠気が襲ってきたので、近くのコンビニでビールを1本購入し、道の駅へ。到着したのは**「道の駅 ホットパーク浅科」**。5月中旬のこの道の駅では、地元産のアスパラガスや山菜が直売所で並び始めていて、早朝から地元の人も訪れる穴場スポットになっていました。

この日はここで車中泊。車はステーションワゴンのレヴォーグ。後部スペースに布団を敷いて就寝。180cmを超える僕でも、斜めになれば足を伸ばせて意外と快適でしたが、毛布1枚では標高900m近い浅科の夜は思った以上に冷え込み、何度か目が覚めました。ヨガマットや寝袋の大切さを痛感した夜でもあります。

エンジンを切った後の無音の空間に、旅の疲れと満足感がじんわりと広がっていく――そんな、静かで贅沢なひとときでした。