◆ 3日目:8月11日(日)
▶ 熊本市内、目覚めと驚きのニュース
朝は7時半ごろに起床。テレビをつけると、熊本各地で川が氾濫し、洪水の被害が広がっているというニュースが繰り返し流れていた。前日の大雨の影響が深刻だったようで、被害状況に驚きつつ、ホテルの外を確認すると、今もなおかなり強めの雨が降り続いていた。前日にチェックインしたときは「意外と川の水は少ないな」と思っていたが、今朝は状況が一変していた。ホテルの部屋から見える川の水位は一気に上がっており、もうすぐあふれそうなほどにまで迫っていて、その変化に驚かされた。
せっかく熊本に来たのだから熊本ラーメンを食べようと、24時間営業のラーメン屋『黄金ラーメン』へ足を運ぶことにした。そのときはちょうど小雨で、外出するにはラッキーなタイミングだった。
ラーメンを食べたあとは、熊本を離れ、次の目的地である湯布院を目指して出発した。

▶ ミルクロードを越えて湯布院へ
その前に熊本市内で2回目の給油を済ませたのだが、そのガソリン価格に思わず驚かされた。他の地域に比べて明らかに安く、嬉しい誤算だった。
その後は、熊本から阿蘇方面へ向かい、景色の良いことで有名なミルクロードを通って湯布院を目指した。雨はところどころ残っていたが、雄大な自然の中を走る道は気持ちよく、旅の醍醐味を感じさせてくれた。
途中はかなりの大雨で、どこへ連れて行かれるのかわからないような不安な道のりだったが、ナビを信じて進んでいくと、阿蘇山の絶景スポットとして知られる「大観峰」にたどり着いた。ところが到着してみると、あたりは真っ白な霧に包まれており、何も見えない状態。絶景どころか視界ゼロで、まるで雲の中にいるような不思議な感覚だった。
周囲が真っ白で何も楽しくなかったため、景色を諦めて足早にその場を後にし、再び湯布院を目指して車を走らせた。
▶ 湯布院の街並みを散策して温泉へ
湯布院は今回が初めての訪問で、どんな街なのかもよくわからず、しかも雨が降っていたこともあり、まずは車で街中をぐるぐると巡ることにした。
その後、妻が湯布院駅で散策マップをもらってきてくれたので、それを頼りに駐車場に車を停めて街歩きを開始。思っていた以上に多くのお店が立ち並び、観光地としてしっかり整備されている印象を受けた。外国人観光客の姿も多く、小さな個人店がひしめく通りは他の温泉街とは違った独特の雰囲気。
ただし「温泉地」というイメージとは少し異なり、実際に温泉そのものはあまり目立たず、どちらかというと観光に特化して発展してきた街という印象を受けた。
傘を差しながら歩いていると、現地では地元のテレビ局がロケをしており、私たちにも声がかかって少しだけ取材を受けることに。雨の中での取材は少し不思議な体験だったが、旅先ならではの思い出になった。
その後も街を歩きながら、カレーパン、焼きたてのチーズケーキ、そしてコロッケを2人でシェアして食べた。どれも美味しく、散策の合間のちょっとしたご褒美のような時間になった。
天気も悪かったため、散策は早めに切り上げて、温泉に入ることにした。少し車で移動し、街中から離れた場所にある温泉施設へ向かった。
訪れたのは「束の間」という温泉で、旅館併設の落ち着いた雰囲気のある施設だった。その温泉は「下原の湯」と呼ばれており、広々とした大浴場は新しく清潔感があり、とても快適だった。しかも運よく他の利用客はおらず、まるで貸切のような状態でゆっくりと温泉を楽しむことができた。
ここは一棟貸しの旅館のような施設で、食事は基本的に自炊スタイルらしく、大浴場だけの利用というかたちだった。
周辺には温泉が豊富に湧き出ており、至る所から湯気がもくもくと立ち上っていたり、地面から温泉が勢いよく噴き出していたりと、さすが本格的な温泉地だと実感した。また、温泉の熱を利用して野菜を茹でたり蒸したりする場所もあり、地域に根ざした温泉文化の一端を垣間見ることができた。
その後、湯布院を後にして、最終目的地である博多を目指して再び車を走らせた。
博多を目指して走り出したものの、高速道路に乗った途端、途中からまさかの通行止め。仕方なく下道に下ろされたが、そこは大渋滞。しかも雨も強まっていて、運転はなかなか大変だった。下道での走行は予想以上にしんどく、疲労感も増していった。




▶ 博多での夕食と居酒屋巡り
夕方の5時半ごろ、ついに博多へ到着。この日の宿はアパホテル。
せっかく博多に来たのだからということで、水炊きを食べることに。ホテルの近くにある「華味鳥」という有名な水炊き屋さんを、妻が道中で予約してくれていた。
しかし、人気店ということもあって予約は夜7時半から。それまでの時間つぶしにと、まずは軽く飲みに行くことにして、博多駅方面へ足を運ぶ。
博多駅にはお土産屋さんが充実しているものの、飲食店は探しにくく、迷いながらウロウロ。そんな中、見つけたのが「とりかわ長政 博多店」。
ここで名物の鶏皮焼きを楽しむ。博多ならではの味わいで、パリッと香ばしく、ビールとの相性も抜群だった。
時間を見計らって「華味鳥」へ移動。以前にも訪れたことのある店だったが、相変わらずの美味しさ。まずは名物のお出汁を塩とネギだけで味わう。この一杯目がとにかく絶品で、これを目当てに来たといっても過言ではない。
その後は鶏肉や野菜をゆっくりと煮込み、水炊きの旨味をじっくり堪能。締めには雑炊を完食し、大満足の食事となった。
さらに3軒目として、少し博多の街を歩いて「酒処あかり」という居酒屋に入った。落ち着いた雰囲気のあるお店で、軽くお酒を飲みながら一日を振り返る。


▶ アパホテルの大浴場でリラックス
ホテルに戻ってからは、アパホテルの大浴場へ。これまでは妻が大浴場を利用できなかった日もあったが、この日は妻も入れるタイプの大浴場で、ふたりとも利用することができた。
広々とした湯船に浸かりながら、長旅の疲れをじんわりとほぐす。雨に濡れた体も温まり、旅の疲れがすっと癒されたように感じた。
◆ 4日目:8月12日(月)
▶ 博多の朝、チェックアウト前のひととき
旅の最終日、朝は7時すぎに起床。まずはホテルの大浴場に向かい、朝風呂で体をゆっくり温めた。長距離運転で少し重くなった体がほぐれていき、旅の疲れが和らぐのを実感。妻も同じように朝風呂に浸かり、心地よい一日のスタートを切った。
その後、身支度を整えて博多駅へお土産を買いに向かうことにした。ホテルから歩いて駅まで向かうと、すでに多くの観光客でにぎわっていた。
博多駅のお土産売り場はとにかく広く、種類も豊富でどれを選べばいいのか迷うほど。今回のお土産は自分用に明太子のみを購入。メーカーごとに味が違い、試食しながら比べて、お気に入りのものを選んだ。冷蔵品なので帰宅後すぐに食べるのが楽しみで、ホテルへ戻る頃にはずっしりとした荷物を抱えていた。
▶ チェックアウト
買い物を終えてホテルに戻り、チェックアウトの準備。大浴場に入ったおかげで体が軽くなり、リフレッシュした気分でホテルを後にした。
▶ 伊賀へ向けて帰路につく
博多を出発し、伊賀への帰路に就いたのは午前10時ごろ。天候は曇りで、前日までの豪雨が嘘のように落ち着いていた。長い帰り道だが、すでに旅の満足感で心は満たされていた。途中のサービスエリアで広島のお好み焼きを食べ、休憩を取りながら、徐々に関西方面へと戻っていく。お盆の渋滞は避けられなかったが、無理のないペースで進むことができた。

▶ 帰宅、旅の終わり
夜の8時ごろ、ようやく三重県伊賀市の自宅に到着。総走行距離は2,000kmを超えていた。車を降りたときの安堵感と同時に、走り切った達成感もひとしおだった。荷物を降ろし、旅の記憶を振り返りながら、買ってきた明太子を冷蔵庫にしまう。
▶ 旅を振り返って
今回の九州縦断ドライブ旅は、天候に翻弄される場面も多かったが、その分忘れられない思い出となった。大雨の中でのドライブ、幻想的な神社、豪華な海鮮や郷土料理、そして温泉。それぞれが濃く印象に残り、夫婦での旅の記録として心に刻まれるものになった。