【2日目:草津・群馬・栃木──早朝の湯畑と霧の峠】
2日目の朝は、まだ雨が降っていました。車の中で目を覚ますと、外はひんやりとした空気に包まれていて、窓を打つ雨音が静かに響いていました。
軽くストレッチをして体をほぐし、「ホットパーク浅科」で顔を洗ってさっぱり。そこから再び車を走らせて、いよいよ草津温泉を目指します。
山道を進むにつれて、標高が上がれば上がるほど霧が濃くなっていきました。車のライトが白く煙る霧を切り裂くように進み、幻想的な景色の中を走っていく感覚はとても印象的でした。
草津までの道のりはほとんど車も通っておらず、静けさの中に時折、鹿の姿が見えるような道でした。自然の中を独り占めしているような、不思議な感覚に包まれながら運転を続けました。
草津温泉に到着したのは、まだ夜が明けたばかりの時間帯。人通りもほとんどなく、湯畑のすぐそばまで車で行くことができました。霧と湯けむりが混ざり合ったような幻想的な景色が広がっていて、まるで草津の町全体が眠っているような静寂に包まれていました。
そこで写真をたくさん撮って、温泉にも入ろうと思ったのですが、時間が早すぎてまだどこも開いておらず、残念ながら立ち去ることにしました。
次に向かったのは「鬼押出し園」。草津温泉から万座あたりを通る途中、まるで北海道のように広大な畑が広がっている景色がとても印象的でした。
向かう途中の有料道路は、料金所に人がいなかったため無料で通行することができました。鬼押出し園に到着しましたが、こちらもオープン前だったため中に入れず、道路沿いから写真だけを撮って先を急ぐことにしました。
次に目指したのは、「メガネ橋(碓氷第三橋梁)」。途中で「碓氷峠(うすいとうげ)」を通過しました。ここは『Initial D(頭文字D)』の舞台のひとつとしても知られる、走り屋の聖地のような場所です。
曲がりくねった山道を抜けて、メガネ橋では車の通りも少なかったため、一瞬道の真ん中に車を停めて写真を撮影。赤レンガのアーチ橋は風情があり、まるで昭和初期にタイムスリップしたかのような雰囲気でした。
このあたりで『Initial D』の世界観を思い出し、せっかくだからこのあとも聖地を巡るルートにしようと決めました。
その後は榛名神社へと向かいました。駐車場から本殿までは意外と距離があり、雨の中を傘をさして歩くことに。途中には、お尻のような形をした滝や、せせらぎの音が心地よい清流が流れていて、自然を感じながらの参道でした。朱色の橋も印象的で、まるで絵葉書のような景色が続きました。
本殿に到着すると、残念ながら工事中で全貌を見ることはできませんでしたが、境内のあちこちで写真を撮ったり、御朱印をいただいたりして、しっかりと参拝を済ませました。
そのまま榛名湖へ。湖畔に着いた頃には、少し雨も弱くなっていて、湖のほとりには穏やかな空気が流れていました。
続いて伊香保温泉へ向かいました。伊香保温泉へ向かう道は、藤原拓海のホームコースとしても有名です。実際に走ってみると、溝落としができそうな溝も一部の区間にはありましたが、ヘアピンカーブのあたりにはそうした溝は見当たらなかったように思います。頭の中ではBGMが流れ始め、まるで作品の世界に入り込んだような気持ちで運転していました。駐車場はあらかじめ調べておいた中で一番手前が最も安く、そこに車を停めて温泉街へ。
石段街を温泉セットを持って歩き、365段の階段を登って伊香保神社まで。途中、温泉の源泉や『イニシャルD』のマンホール蓋も発見。神社では御朱印をもらい、帰り道にはできたての温泉まんじゅうを購入し、その場で一つ食べたら、驚くほど熱くておいしかったです。
その後「石段の湯」で一風呂浴びましたが、階段の上り下りで体がすでに温まっていたため、あまり長湯はせずに軽く汗を流しました。
帰りに立ち寄った「食の駅」でお土産を購入。まだ体力が残っていたので、思いきって日光東照宮を目指して出発しました。
日光東照宮に向かう道中、さすがにガソリンが心配になりセルフのスタンドを探しましたが、なかなか見つからず苦労しました。ただ、長野県では高かったガソリンも、群馬県に入った途端に価格がぐっと下がり、少しホッとしました。
なんとか給油を済ませ、そこから約2時間半かけて日光東照宮へ。適当な駐車場に車を停め、右も左もわからない状態だったので、案内板の地図を見ながら参道を進んでいきました。
東照宮へ向かう途中には複数の神社やお寺がありましたが、なかでも印象に残ったのは、まさかの「BEAMS(ビームス)」の店舗。中には日光限定のご当地アイテムが並び、観光地とファッションブランドの融合に驚かされました。
いよいよ東照宮の敷地内へ入ると、さすがに観光客──とくに外国人観光客が多く、想像していたような静けさはありませんでした。拝観料は1600円。チケット売り場も列ができており、しばらく並んでからようやく入場しました。
中に入ると金色の装飾が施された建物がいくつも並んでいて、まるで異世界に足を踏み入れたような感覚。順路に沿って歩いていくと、「眠り猫」の彫刻の下をくぐり、そこから奥宮へと続く100段以上の階段を登っていきました。
本当はもっと静かな空間でお参りしたかったのですが、人が多すぎてそうはいかず、少し残念な気持ちもありました。それでも無事にお参りと御朱印を済ませ、来た道を静かに下っていきました。
その後は境内を歩きながら写真を撮り、本堂と天井に龍が描かれた建物にも立ち寄りました。神聖な空気を感じながら、ゆっくりと駐車場へ戻っていきました。
途中で食べた蕎麦がまた美味しく、ちょっとした満足感を得ながら車へ。走り出したあと、お土産を買い忘れていたことに気づき、再び近くのお土産屋へ立ち寄って無事に購入できました。
その後は、いろは坂へと移動。ここも『Initial D』の聖地で、上りは二車線あるため快適に走ることができました。最上部の中禅寺湖に到着し、記念に写真撮影。
ただ、下りは一車線なので前の車が遅いとかなりゆっくりになります。坂を下ったあとは群馬方面へ抜け、そこから帰路につくことにしました。
軽井沢周辺まで戻ってきたあたりで、さすがに疲れがピークに達し、近くのコンビニでビールを1本買って、道の駅に車を停めてそのまま爆睡しました。車中で過ごす静かな夜は、まるで旅の余韻に身を預けるような心地よさがありました。
ただ、やはりヨガマットと毛布をもう一枚持ってくればよかったなと改めて思いました。